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ゲーム作りを仕事にするために ~サーバーエンジニア編~

 

スマートフォンでプレイするゲームアプリを中心に、「アーティストとファンをつなぐ」サービスを提供する、株式会社10ANTZ。乃木坂46や東方神起など、人気アーティストを起用したゲームをリリースしています。

 

今回はその10ANTZで、サーバーエンジニアとしてゲーム制作にかかわる芳賀 幸一郎(はが こういちろう)さんに、サーバーエンジニアの仕事や、ゲーム作りを仕事にするために必要なことをうかがいました。

 

「将来はゲームを作る仕事がしたい!」と夢をもつ子どもたちとおうちの人が、今、向き合うべきことは何なのか。

 

最前線でゲーム制作に携わる、芳賀さんの仕事をご紹介します。

 

 

ゲームの土台を担う、サーバーエンジニア

 

 

芳賀さんは2017年4月、ゲームアプリをはじめとしたサービスを提供する10ANTZに入社しました。現在はチーフエンジニアとして、新しいゲームのサーバー開発を中心とした業務を担当しています。

 

芳賀さんの業務は、
・ゲームデータの保存
・ゲーム内でアイテムを購入する課金システムの管理
・パズルシステムの開発
など、裏側の仕組みを管理することが中心です。

 

キャラクターや音楽、ストーリーの制作とはちがう、ゲームの土台を支えるための仕事。たくさんの人が同時にプレイすることが多いソーシャルゲームで、いつでもスムーズに、すべての人が公平・公正な環境で楽しめるよう、システムを管理しています。

 

次に芳賀さんは平日、どんなスケジュールで過ごしているのかを聞いてみました。

 

■ □ 芳賀さんの一日 ■ □

 

8:00 起床 朝はコーヒーをのみながら、テレビ番組「スッキリ」を見るのが日課

9:30 出勤 通勤は余裕をもって 電車が混んでいたら1本遅らせることも

10:00 始業 前日の状況を復元・整理、その後朝のミーティングへ
本日の予定や課題を報告し、昼食までコーディング作業

13:00 昼食 10ANTZは始業が10:00なので、ランチはおそめ

14:00~終業まで 午後はひたすらコーディング作業をしていることが多い

20:00ごろ 退社 勤務はフレックスタイム制なので、帰宅時間は業務の忙しさに合わせて調整している

帰宅後は就寝まで同僚と、インターネットでつながるPCゲームを楽しむ。休日は朝までプレイすることも。

24:00ごろ 就寝

 

サーバーエンジニアの仕事は、ストーリー制作やキャラクターのデザインとはちがい、一人でパソコンに向かう時間が長いようです。

 

芳賀さん 「関わっているゲームに爆発的な人気がでたとき、あるいはゲーム内のイベントなどで急速にゲームに参加する人が増えたとき、要求されるデータに対してコンピュータの処理が追いつかず、一時的にゲームがプレイできなくなる“サーバーが落ちた”状態が起こります。

 

ゲームの人気が高まることはうれしいものの、サーバーが落ちることはエンジニアとして名誉な状態ではありません。

 

ゲームが一旦完成したあとは、 “プレイする人が短時間でたくさん集まった場合”を想定し、できる限りの備えをしておくことがサーバーエンジニアの仕事であり、醍醐味ですね」

 

サーバーエンジニアはゲームを支える”縁の下の力持ち“的存在。「こういうゲームを制作します」というゲームの内容が書かれた”仕様書“を受け取ったあとは、ひたすら裏方を担います。

 

 

一番の評価は「一緒にやらないか」

 

 

現在、芳賀さんは31歳。システムエンジニアとしてキャリアをスタートさせて以来、6つの会社でシステム運用やゲームの開発などのプロジェクトに関わってきました。

 

はじめてゲーム開発に携わったのは3つめの会社でのこと。25歳のときでした。

 

誰もが名前を知る大手企業でも、新規ゲームの開発や海外展開のメンバーとして実績を重ね、現在は10ANTZのチーフエンジニアとして、サーバーサイドの開発を担当しています。

 

現在、スマホアプリの市場は大きく、たくさんの会社が人手不足で悩んでいます。芳賀さんの持つスキルは需要が高く、「以前働いていた会社で知り合った人から声をかけられた」など、関わった仕事が周りの人の目にとまり、評価されたことが転職につながってきました。現在この業界において、転職は珍しいことではありません。

 

いくつもの会社でゲーム制作にかかわるなかでは、爆発的な人気を誇ったゲームの、エンドロールに名前がのっているような人が同じチームにいることもあるといいます。

 

高い能力を発揮した人や、チームに大きく貢献した人など、ひとつのゲームを作るなかでメンバーに評価されてきた人は、新しいゲームを作るときにも、“加わってほしいメンバー”としてよく名前があがります。

 

その中でも特に高く評価されるのは、「最初のメンバーとして、ひとつの新しいゲームを人気ゲームに育てた経験のある人」。チームでゼロから新しいものを生みだす能力を持つ人には、「一緒にやらないか?」と、声がかかります。

 

 

必要なのは「学び続けること」と「仲間と分かちあうこと」

 

 

芳賀さんは今、サーバーエンジニアという職種の領域が広がってきているように感じているといいます。

 

これまではサーバーの管理だけで十分だった業務が、自分でサーバーを構築できることや、データベースやプログラミングに精通していることなど、他の分野の知識も持つ人材が求められるようになっているのです。

 

芳賀さん 「私は学生のころから、コンピュータのことを専門的に学んできたわけではありません。現在の知識や技術は、すべて就職してから様々な業務に携わるなかで勉強して、身につけてきました。

 

今も自分の仕事に関わりのある研修やセミナーには、できるだけ参加するように心がけています。なかでもGoogleの講演会には積極的に参加し、最先端の技術に触れる機会は意識的に増やしています。

 

自分たちが一からGoogleと同じようなシステムを構築することは現実的ではありませんが、Googleが公開している論文や提供しているサービスを取り入れ、自分たちの企画にどういかしていけるかは、いつも考えていますね。

 

この業界は短期間で転換期を迎え、必要とされる技術は移り変わります。どんな変化が起こっても活躍できる人材であるためには、最新の情報や技術を知っておくことが重要です」

 

技術的なことについて言えば、継続的な学習とスキルアップが必要だと話す芳賀さん。では日常の業務をこなす上で大切なことは何なのでしょうか?

 

芳賀さん 「コミュニケーションですね。サーバーエンジニアは、自分がそうしようと思えば、1日中誰とも話をしなくても困らない仕事です。私自身も、黙々と作業をしている時間が一番仕事に集中できていますし、充実しているとも感じます。

 

でもゲームは一人でつくるものじゃない。同じ会社で働く人たちは、チームメイトです。せっかく一つのコンテンツを一緒に作っているなら、達成感や成果がでたときの喜びも共有したい。それが結局、次はもっといいものを作ろうというモチベーションにつながり、自分の技術を高めることにつながります」

 

今後の目標は、10ANTZの代表作といえるコンテンツを作ることと話す芳賀さん。

 

たくさんの現場で求められる人を見てきたことで、「自分の仕事は、大きなゲームをゼロから作ることに意味がある」という信念を持ち、アーティストの活動を盛り上げる重要な局面で、「ぜひ10ANTZに企画してほしい」と求められるようなコンテンツをリリースしていきたいと考えています。

 

 

ゲーム作りに算数や数学が必要な理由

 

 

芳賀さんは幼稚園に入園する前からゲームが大好きで、他に好きなものは何かと聞かれても、ゲーム以外には思いつかないほどのゲーム好きです。家でゲームばかりするのがダメだと言われれば、公園や友だちの家で、いつでもゲームをして遊んでいました。今も自由な時間はゲームを楽しんでいます。

 

そんな芳賀さんが、子どものころにやっておいた方がいいと思うことを聞いてみました。

 

芳賀さん 「プログラマーやシステムエンジニアといった仕事を目指すのであれば、算数や数学はしっかり勉強してほしい。

 

この仕事は、数学の公式を知っていれば十分ではないんです。大切なのは“数学の公式が成り立つ理由を説明できる“こと。『なぜこの公式は成り立つのか』を追求する習慣をつけることで、若いうちから論理的思考を養うことができます。

 

“なぜ”を追求していく力は、この仕事でゼロから何かを生み出し、継続してスキルアップしていくためには絶対に必要なものです」

 

「ゲームで遊ぶことが好きなだけでは、ゲームを作る仕事を続けていくことはできない」これはゲームを作る仕事に携わるすべての人が口にする言葉です。

 

芳賀さん 「どんな仕事もそうであるように、この仕事も楽しいけれど苦しいこともある。この先も、勉強しなければならないことはたくさんあります。でも、それが最初からできる人はいません。子どもたちには逃げずに努力し続け、夢をかなえてほしいと思います」

 

そして最後に、根っからのゲームっ子だった芳賀さんが、おうちの人に伝えたいメッセージを聞いてみました。

 

芳賀さん 「ゲームなどのエンターテイメントにふれているとき、子どもの発想力は大人が想像できないほど広がり、たくさんのアイデアが浮かんでいます。だからゲームが好きなら、やるべきことをやった上で、自由に遊ぶ時間も確保してあげてください」

 

好きなゲームを仕事にした芳賀さんは、同席した会社の人からたくさんの笑顔を向けられながら、ゲーム制作を目指す子どもたちのために、やさしい言葉でたくさんの話をしてくださいました。

 

 

Text by 黒田 靜

 

 

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