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ゲーム作りを仕事にするために ~プロダクトマネージャー編~

 

スマートフォンでプレイするゲームアプリを中心に、「アーティストとファンをつなぐ」サービスを提供する、株式会社10ANTZ。乃木坂46や東方神起など、人気アーティストを起用したゲームをリリースしています。

 

今回はその10ANTZで、プロダクトマネージャーとしてゲーム制作にかかわる中川 浩一(なかがわ こういち)さんにお話をうかがいました。

 

中川さんにとって、ゲーム作りとはどんな仕事なのか。

 

エンジニアやデザイナーとはちがい、プログラムやキャラクターには直接ふれない中川さんのものづくりをご紹介します。

 

 

プロダクトマネージャーは、ゲームを世に送り出す仕事

 

 

中川さんは現在、10ANTZのプロダクトマネージャーとして、公開中の“乃木恋”と新規のプロジェクトを担当しています。

 

デザイナーやエンジニアといった開発にかかわる業務ではなく、どんなゲームを作るのか、作ったゲームにはどんなしかけを組み込んでいくのか、公開されたゲームをよりたくさんの人に遊んでもらうにはどうすればいいか。人気ゲームにするための戦略を立てることや、売り上げとコストの管理が主な仕事です。

 

まず中川さんは平日、どんなスケジュールで過ごしているのかを聞いてみました。

 

■□ 中川さんの1日 ■□

 

8:30 起床

9:00過ぎ 家を出る

始業10分前には会社に着き、前日の売上確認やミーティングでの報告内容をまとめる

10:00 始業~30分程度 リーダーミーティング

マネージャーが集まって情報を共有

その後、自分の担当するプロジェクトチームとのミーティング

13:00 昼食

14:00~終業まで 担当するプロジェクトに関する確認作業

日によって発生する様々な案件に、その都度対応していく

エンジニアやプランナーなど、同じプロジェクトに関わる人たちと話す時間が長い

18:00以降 1日の確認作業や、スケジュールの管理、翌日の会議のための資料作成など、作業の時間

勤務はフレックスタイム制なので、帰宅時間は業務の忙しさに合わせて調整している

 

家では観葉植物の手入れや鑑賞でリラックス。仕事ではデジタルなものを扱う時間が長いので、アナログなものに癒しを感じるそうです。

 

 

着メロ、ソーシャルゲームを経て、アーティストを盛り上げるゲームへ

 

 

中川さんは大学で経済学を学んだのち、新卒でモバイルコンテンツの企画・開発をしているベンチャー企業に入社しました。

 

スマートフォンはまだない時代で、主な業務は携帯電話の着メロや着うたのサイト運営。Webで支持されるサービスを企画し、広めていく方法はここで学びました。

 

その後、会社は東証一部に上場し、規模も大きくなった頃にスマートフォンが登場。プランナーとしてソーシャルゲームの運営や新しいゲームの立ち上げに従事し、ディレクターやプロジェクトマネージャーを担当しながら、いくつものヒットタイトルに携わりました。

 

中川さん 「スマートフォンアプリを使ったゲーム市場は細かく分析されてきていて、『こういうお客さまにはこういうゲーム』という枠ができつつありました。仕事をしていても、流れが固定されてきたんです。もっと大きなことを目指すには、環境を変えるべきではないかと考え、10ANTZへの入社を決めました」

 

中川さんが10ANTZに入社したのは2017年1月のこと。代表の髙澤さんは、以前の職場の上司でした。

 

中川さん 「代表の髙澤は20代から音楽業界にいて、盛り上がっていた時代も、勢いが衰えた時代も経験しています。そして音楽業界から離れたあと、IT業界でコンテンツ制作のノウハウを蓄積し、改めて音楽業界を活性化させたいという思いで2013年に10ANTZを立ち上げました。

 

私が10ANTZに入社したのは、ゲームだけにとらわれず、自分たちのコンテンツで音楽業界を盛り上げたいという髙澤のビジョンに共感したからです」

 

現在10ANTZでは、『ファンとアーティストの“時間”と“ありがとう”をつなぐ』をミッションに、アーティストをより輝かせられるゲームを制作しています。

 

中川さんたちは、普段からさまざまなアーティストに対してアンテナをはっており、魅力を感じたアーティストについてはさらに深く情報収集し、企画を立てて、アーティスト側に提案します。

 

中川さん 「より多くの人に良さを知ってほしいと感じたアーティストを選び、そのアーティストをテーマにどんなゲームを作るのか、そのアーティストが求めていることは何か、ファンを増やすために10ANTZができることはなにかをつきつめて考えていきます。

 

目標は、ゲームだけでなく様々なコンテンツを企画し、アーティストから必要とされるサービスを提供できる会社になることですね」

 

 

ユーザーが楽しめるかを見極め、チームをまとめる

 

 

次に中川さんが、ゲームを作るうえで大切にしていることを聞いてみました。

 

中川さん 「すでに世の中には、多種多様なゲームがあふれています。そのなかで他のゲームとの違いを出すためには、あえてゲーム性ばかりを考えず、ゲームにどんなコンテンツを合わせるかにこだわるようにしています。

 

楽しい経験や体験をとおし、感動を味わえるゲームを作るためには、そのゲームでどんなことを表現するべきなのか。ユーザーさんの感性を大切にしてものづくりをしています」

 

目に見えない“感性”を、ゲームというひとつの形で表現することはむずかしくないのでしょうか?

 

中川さん 「10ANTZにはゲームをつくる上で必要な専門知識と高度な技術をもった人たちがたくさんいます。

 

ただ、ゲーム作りのプロにとっておもしろいゲームと、アーティストのファンであるユーザーさんがおもしろいゲームがちがっていることは少なくないので、そのちがいを埋めていくのが難しいことはありますね」

 

子どものころは「みんなが遊んでいるから」と、ドッジボールやミニバスケの輪に入り、学生時代は「みんなが聴いているから」と、Mr.ChildrenやGLAYの音楽を聴いていたという中川さん。

 

“みんなが好きなもの”に囲まれて成長しながら、人が求めるものを見極める力を育み、広い視野を手にしました。

 

専門的な能力と個々の技術で支えられるゲーム作りの現場において、中川さんの能力はチームをまとめる要です。

 

 

やり抜く力で、人を幸せにするゲームを作り続ける

 

 

次に職業としてプロダクトマネージャーを目ざす人が、身につけるべき資格や技術について聞いてみました。

 

中川さん 「プロダクトマネージャーになるために、特別な資格や能力は必要ありません。ただゲーム制作は“誰かが楽しいと思うものを作る仕事”です。今、世の中で多くの人が楽しいと思っていることは何なのか。そのアンテナは常に立てておく必要があります。

 

具体的には、話題になっていることやたくさんの人が熱狂しているものに自分もふれて、なぜそれが受け入れられているのか、なぜ楽しいと感じるのかをつきつめて考えることが大切です。

 

実際の体験をふまえて、どうすればそれをゲームで表現できるかを考えながら、自分なりの答えを出しておくことが、この仕事への大事な向き合いかたですね」

 

最後に、子どもたちとおうちの人へのメッセージをお願いしました。

 

中川さん 「ゲーム作りだけでなく、もの作りを仕事にするのであれば、こだわりを持って最後までやり抜く力は欠かせません。何かをやり通す力は、大人になってからの根気強さにつながります。

 

苦手なことがあっても、日々の生活の中でやらなければいけないことは、修行だと思ってがんばってほしいですね。

 

そしておうちの人には、サッカー選手やパイロットのような、大人にとって美しく見える夢と同じように、ゲーム作りもまた、誰かの幸せを作るすばらしい仕事だと知ってもらいたいと思います。

 

お子さんから、ゲーム作りを仕事にしたいと聞いた親御さんは不安を感じることがあるかもしれませんが、現代にはゲームに日々の楽しみを見出している人がたくさんいます。

 

できれば一緒にゲームをして、お子さんがどんな感情を抱いているのかを知ってください。今、どんな時代なのか。何に価値が見出されているのか。親御さんが視野を広げることで、お子さんの夢が、どんなにすばらしいものかに気づいてもらえると思います」

 

中川さんは今日も、ゲームの向こう側にいる人の楽しさや幸せを見つめながら、 “たくさんの人が夢中になるものづくり”に取り組んでいます。

 

 

Text by 黒田 靜

 

 

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